ひと言集

文字サイズ:

画像の説明

平成18年10月16日

10月のことば

画像の説明

「故郷の思い出」

 初めて出会った人に、自己紹介と簡単な挨拶をするのは当たり前なことですが、認知症高齢者との出会いでは、一回目の出会いで、「なじみの関係」作りをします。

 挨拶の後、「ところで、○○さんはどちらのお生まれですか」と尋ねます。認知症がかなり進行しても、故郷のことは覚えています。「徳島よ」と答えた女性に、「徳島ってどんなところですか」とたずねると、「どんなとこって・・・」と具体的に思い出せないことがありました。「徳島といえば、48ヶ所めぐりの札所がありましたね」と、思い出すきっかけを与えると、「そうそう、霊山寺、1番札所よ」と思い出し、お遍路さんの話をしてくれました。

 ある男性に、「どちらのお生まれですか」と尋ねたら、「台湾だよ」「台湾は、どんなところですか」と尋ねると、「う・・・」「台湾では、ビーフンをよく召し上がりますか」「そう、そうビーフン、あれは美味いよ」他の高齢者が、「ビーフン?それなに」と声をかけると、「ビーフンは、うどんみたいなものだよ。お湯に浸して、ごま油でいためて食べると美味いよ」と説明してくれました。

 2事例からお分かりのように、「どちらのお生まれですか」と尋ねたとき、場所は言えても具体的なことが思い出せない方には、思い出すきっかけを伝えると、いきいきと自信を持って話してくれます。「まあ、素敵な所ね」「美味しそうね、食べたくなりましたわ」などと、共感します。

 現実の中で、話のやりとりが難しくなっている高齢者との出会いで、「なじみの関係」作りに、「故郷」の話しから入っていくことは、大変効果的です。次の場面で、笑顔で挨拶をすると、「この人、知ってる人だわ」と感じているのが、伝わってきます。

 デイサービスやショートステイあるいは在宅訪問時、「なじみの関係」作りから入ると、好ましい関係ができます。

 故郷の思い出が具体的に見つからないとき、「思い出すきっかけ」を与えられるようにするためには、情報をいっぱいもっていることですね。現在はあらゆる方法で、情報を得ることができます。なるべく高齢者の若かった頃の、生活に密着したことがよいですね。

 故郷の思い出は、話しても尽きることがありません。認知症のない方との関係作りにも効果があります。話を伺った後、故郷の歌をご一緒に歌うのもよいでしょう。

 深まる秋の日は、故郷を思い出し懐かしむのが似合っています。