ひと言集

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平成19年7月17日

7月のことば

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「言葉のもつ恐ろしさ」

 10数年前のことですが、ある入居者が、「お便所へ行きたい」と訴えたとき、「おむつしているからそこにしていいのよ」と手が離せない仕事をしていたスタッフが言いました。
このスタッフは入居者に優しく仕事熱心な人だったので大変驚きました。

 最近はどこの施設でも、高齢者の尊厳、虐待防止について充分な教育を行っているので、施設のスタッフでこのようなことを言う人は皆無だと思いたいのですが、忙しい職場で無意識に好ましくない言葉を耳にすることがあります。

 先日頻尿の入居者のことで相談を受けました。認知症のある方でトイレに行って来たばかりなのに、「お便所に行きたい」と何回も訴える方で、トイレに行っても尿が出ないことも度々あるということでした。泌尿器科医に診てもらいましたが、頻尿の原因となる病気はないと言われたそうです。

 頻回な訴えに、「我慢してね」と言っても我慢ができないので、どう対応したらよいかと言うことでした。認知症の方の中にはトイレに行ったことを忘れて何回も行く方もいますが、何かすっきりしない、お漏らししたらどうしよう、などという不安が原因のこともあります。また、何もすることがない、何をしたらよいのか分からない、ここにいてもよいのかと落ち着かない気分など、個人によって原因は違います。この方は好きな仕事や遊びをしているときは、トイレに行きたいという言葉が少ないということでした。

 この相談の中で、「我慢してね」と言う言葉が気になりました。排泄は基本的な欲求の1つです。「今トイレに行ってきたばかりよ」と話しても寸前の行動を忘れている方には無理です。でも「我慢してね」でなく「少し様子を見ましょうね。と言ったら如何でしょうね」と提案してみました。

 言っているスタッフは、自分の言葉に意外と気づいていないものです。言い方によっては、虐待につながる言葉もあることを意識したいものだと思いました。