ひと言集

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平成20年6月24日

6月のことば

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「こんなときなんと言えばいいの」

 ケアスタッフによく質問されることの一つに、「『死にたい』とお年寄りが訴えた時、なんと言えばよいのか困ってしまいます」ということがあります。お年寄りの状態やその場の状況によりますが、初めて聞いた時は、咄嗟に「そんなこと言わないで」と言っていませんか。「そんなこと言わないで」と言うのは、お年寄りの「死にたい」という訴えに対し、「聞きたくない、やめてください」と言っていることになります。否定です。「この人は私の気持ちを解ってくれない」と思うお年寄りは、口を閉ざしてしまうでしょう。また相手が解ってくれるまで何回も同じことを訴える人もいるでしょう。

 寄り添うケアなどということが言われていますが、具体的な場面に出合うと、こちら側が戸惑ってしまうことがあります。また、「お年寄りと死」について学んでいても、上記のような場面に出合うと、思わず否定してしまいます。言った本人は「否定」したという実感はないでしょうが、「あのような言い方でよかったのだろうか」という疑問が残ります。このようなことが度々あると、心の底に何か重いものが沈んでいるようで、気分が晴れません。

 お年寄りの訴えの中には、すぐ解決できるもの、少し待てば解決できるもの、人(スタッフ)の力では解決できないものなどがあります。お年寄りの「死にたい」気持ちを解決するのは難しいことですが、「死にたい」という気持ちを、ある程度理解することはできます。

 「死にたい」と訴える人には、「死にたいのね」と相手の言った言葉を繰り返すようにします。否定しないといわれても難しいでしょうが、同じ言葉を繰り返すことは誰にでもできます。そのあとに、「どうして死にたいの」と尋ねてください。人によって死にたい理由は違うでしょう。虚弱な身体で、人の手を借りなければ生きていけない自分が情けない、家族関係の悩み、経済的な悩み、親しい身内に先立たれた、身寄りのない淋しさ、役に立たない自分が情けない、長く生き過ぎたなどなど多様ですが、いくつものことが重複していて、生きる力(生甲斐)を失っています。

 励ますよりも、お年寄りの話に耳を傾けて、「辛いですね」「年を取るということは淋しいことですね」などと、お年寄りの話を聴きましょう。別れるときは必ず、「ご無理をしないでね。また、お目にかかりましょうね」と声をかけてみてはいかがでしょう。握手をするのもよいでしょう。