ひと言集

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平成20年10月27日

10月のことば

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「虐待」
 
 多くのケアスタッフは、心のこもった介護を志して日夜励んでいます。しかし、ごく一部の人が、「虐待」と思われる言動をとっているという情報が入ります。

 入居して2週間になるAさん(85歳、女性)は、当初多少の混乱が見られましたが、程なく落ち着き、以前からその場所で暮らしていたように見えました。家族(娘)の話によると、「3年前にグループホームに入所しましたが、そこでは面会に行く度に、不機嫌だったり泣いたりしていたので、家に連れて帰りたいと思ったこともありました。でも仕事の都合で連れて帰ることもできず辛かった」ということでした。理由を伺うと、「母は何にもわからないわけではなく、時にはわかることもあるのに、スタッフが毎回お漏らししたことを母の前で言うのでかなり傷ついたようです。そのほかにもいろいろありましたが・・・」と話されました。

 どこの施設でも「虐待防止」についての教育はしています。でも残念ながら学んだことが生かされてない職場(人)があります。介護の現場は人手不足で忙しいのは理解しています。どんなに忙しくとも、言ってはならない言葉があります。「お漏らししないでね」「また汚したの」「おむつ替えるのよ」「臭い」など排泄に関する失礼な言葉を言っている人はいませんか。その言葉がどれほど認知症の人を傷つけているか考えたことありますか。認知症の人は体験したことを直ぐに忘れるといいますが、嫌なこと(屈辱感)は残ります。嫌なことが度重なると、ときに行動・心理症状に発展してしまうことがあります。

 日常的なケアの中で排泄の他に食事の時に、失礼なことを言う人がいます。「ええ、こんなのまで食べたの」「汚い食べ方ね」「早食いね」などです。いずれも、言っている本人は、その言葉がどれほど認知症の人たちを傷つけているか気づいていないのだと思います。日頃からチームで話し合い、「虐待」につながる言動をなくしていかなければならないと思います。

 最近もっとショックな話を福祉の現場にいる友人から聞きました。スタッフがあるグループホームに研修に行ったところ、「抑制衣」の着せ方を指導されたということです。ごく一部の施設でしょうが、「抑制衣」が今も使われているという現実に愕然としました。

 認知症という病気のために、生活の自立を失う過程にある人の「尊厳」を守るのが私たちの仕事です。誇りを持って日夜励んでいるスタッフが大勢いるのにとても残念なことです。

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