ひと言集

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平成21年2月12日

2月のことば

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「可愛い」
 
 可愛いという言葉は日常的に言ったり言われたりする。女性の話の中で「私可愛いおばあちゃんになりたいわ」という言葉がよく出てくる。人・物を含めて可愛いものは誰からも愛され大事にされるものである。

 かなり高齢な女性も店頭で衣服を選ぶとき「これ、可愛いわ、私ほしい」と言っている。男性には縁のない言葉かもしれないが、女性にとっては生まれたときから生涯「可愛い」という言葉は心地よく響いてくる言葉のようである。

 入所して9年目になるAさん(92歳、女性)は高度の認知症である。日常生活面はすべてに全面介助が必要な状態である。Aさんは長い間暴力行為が続いてスタッフや入居者を困らせていた。「可愛い」からは縁遠い感じの方だったが、今は暴力を振るうエネルギーもなくなって、昼夜ともうとうと寝ている時間が多い。訪問して声をかけると、大きな目を開けてこちらを見た。細面で意外なほど美人であった。「Aさん可愛いですね、小さいとき日本人形のようね。と言われたでしょう」と声をかけると、「ありがとう」歯のない唇が動いて笑顔が戻ってきた。嬉しくなって手を握ると握り返してきた。

 廊下の片隅で数人の入居者と折り紙を折っていた。スタッフの後をWさんが追いかけるように歩いていく「Wさんどちらへ行くの」と声を掛けたら「わからないの、連行されるのよ」と笑顔で通り過ぎた。小柄で品の良いWさん(88歳、女性)は中等度の認知症である。日常生活面はほぼ自立しているが、1日をどのように過ごしたらよいかわからないため、部屋に1人でいることが多い。スタッフが仕事を頼むために呼びに行ったようである。仕事も1人ではできないが、スタッフと一緒であれば何とかできる。

 Wさんはチャーミングな方である。折り紙をしている時もわからない、できないとは言わない「もう一度幼稚園に行こうかしら・・・」と首を傾げて言う。何よりもいつも笑顔が絶えない人である。