ひと言集

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平成22年6月21日

6月のことば

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「ケアスタッフのもう一つの役割」

 「今度入った人恐いのよ、大声で怒鳴るんですもの、食堂でご飯食べていても落ち着かないわ」以前から入所しているSさんは訴えた。

 2週間前に他のグループホームから移ってきたTさんは難聴のためか一方的に大声で周囲の人に理解できないことを叫んでいた。入居したばかりなので混乱もあるようだ。

 前回Tさんに挨拶をしたら、プイと顔をそむけてスタッフの方に眼をやった。知らない人は受け入れないがスタッフには少し慣れてきているようだった。今回はベッドに臥床していたので、訪問して床に膝を着き目線を合わせてやや大きな声で挨拶をした。すると「どこだ」という言葉が戻ってきた。私の生まれた土地のことを尋ねたのかなと思い、「○○県の生まれです」と言うと再度「どこだ」と声を荒げた。「あ、ここの場所を尋ねているのだな」やっと気づいて場所を話すと「いい所だな」と言い「東京まで遠いか」と言う。「さほど遠くないのでお元気になったら行かれますよ」と伝えると「ありがとう、ありがとう」と握手を求めてきた。

 短期間のうちに2回も環境が変わったので「どうなっているのだ、ここはどこだ、家から遠い所に来てしまったのだろうか?」Tさんはスタッフに何回説明されてもすぐに忘れてしまうし、説明が十分聞き取れないことなどがあったようだ。

 Tさんのことを恐がっていたSさんに「耳が遠くなると自分の声の大きさが分からなくて大きな声になってしまうのよ」と伝えたら「へえ、そういうものですか、恐い人ではないのね、よかったわ」と安心された。

 難聴のある方には、音声増幅器の利用や筆談など何らかの方法で情報が正確に伝わるようにするのは当然なことであるが、同時に一緒に暮らす他の入居者が安心して暮らせるように、納得できるような説明をするのもスタッフの役割の一つである。