ひと言集

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平成22年8月24日

8月のことば

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「茹でまんじゅう」

 「お祭り」というテーマで話し合いをしたときのことである。

 「お祭りの太鼓の音が村中に響き渡るともう浮き浮きした気分で何も手につかなかったわ」

 「お母さんはご馳走作りに忙しくて、私もお手伝いしたわ」

 「うちのお父さんはお祭りでもお小遣いくれなかったのよ。家でしっかり食べているのだから、買い食いは駄目だというのよ」

 「夏祭りは浴衣よね。秋祭りはメリンスの着物を着て、ああ、お祭りはいいわね」

 「親戚にお客で行くと、よく来たね。直ぐうどん作るから食べて行ってねと、うす(お餅をつく道具)の中から小麦粉を升で計ってうどんを作ってくれたわ」

 「そうそう、お米はあまりとれなかったのよね。小麦はよくとれたから何かといえばうどんだったわね。うどんはご馳走よ」

 「そういえば、茹でまんじゅうって作りませんでした?」と声をかけると、
 「そうそう、茹でまんじゅうは必ず作ったわ。茗荷(みょうが)の葉に茹でまんじゅうを包んでいただくのよね」

 「そうそう、小麦粉を練った皮に時間をかけて作ったあんこを丸めて入れるのよね。薄い皮の下に小豆色のあんこが透けて・・・」

 「あんこ煮るとき、あんこが跳ねて火傷しそうになるのよね」

 「あぁ、美味しそう」

 「東京から親戚の人が大勢来るのよ、お土産に茹でまんじゅうを持たせるので、お母さんは朝早くから大変だったわ。私が手伝うと皮が破れてあんこが出ちゃうのよね。あんこが出ちゃうとお湯が汚れるでしょう、だからはじめからお湯を沸かすので、あんたはかまどの火を燃やす専門にしてよと言われたの。東京の子は綺麗な着物を着ているのに、私は汗で汚れて恥ずかしかったわ」

 参加者全員が関東地方で生まれ育ったので、茗荷(みょうが)の葉に包まれたあんこが透きとおって見える「茹でまんじゅう」の話題は共通の思い出だった。話しが弾み笑顔があふれ、ぞれぞれの人の「物語」が見えてきた。

 終了したとき「今日は楽しかった、また来てくださいね」と一人ひとりから握手を求められた。(回想法の実際)