ひと言集

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平成22年10月19日

10月のことば

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「生活習慣」

 認知症の人は適切な意思表示ができないために、生活支援の場ではともすると介護スタッフ主導になりがちである。個人のライフステージを知り理解を深め、その人に合わせた個別ケアを行いたいとスタッフ側は思っているが、実践の場では難しい。その結果さまざまなことが起きてくる。

 ある施設で衣服を脱ぎ裸になる男性がいた。注意しても聞き入れない。スタッフの一人が下着を脱がせて上着だけにしたところ、裸にならなくなったという。

 この施設は入居者全員に下着と長袖の上着を着せていた。フロアの室温は24℃に調節されていた。多くの人は衣服を脱がない。脱ぐ人は決まった2人である。スタッフは全員半袖である。

 「下着の上に長袖の上着を着せる」という決まりを作ったのは衣生活委員会? 委員会の常識は個人の生活習慣が考慮されていないことにフロアスタッフは長いこと気づかなかったようだ。

 「人前で裸にならないで」と注意しても裸になる認知症の人には理解できないだろう。彼が求めているのは「快」である。下着を着るという「習慣」のない人が下着を着たら窮屈だ。長袖は体に風が通らないので暑苦しい。そのことを適切に訴えることができないために衣服を脱いだということを理解してはじめて個別ケアにつながる。

 以前聞いた話であるが東北のある地域の男子は年間を通して眠るときは裸だという。冬は寒いでしょうと尋ねたら「いや、寒くないよ」という返事が戻ってきた。「習慣」は地域によっても異なることを知った。