ひと言集

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平成23年2月7日

2月のことば

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「見守りと監視」

 認知症の人のケアの場では「見守り」がとても大切なことである。間違ったことをするから、行動が遅いからといって介入しすぎると、相手をひどく傷つけたり混乱させたりするからである。危険やトラブルに発展しなければそっと「見守る」ようにする。

 「見守り」という言葉には「あなたのことをとても気にかけておりますのよ」「お困りのことがありましたらお手伝いいたしますね」という優しさが含まれていなければ「監視」になってしまう。

 また「見守り」の中には多くのことが含まれている。認知症の人は、認知症という病気のために生活の自立を失う過程にあるが、言葉で不安や困っていることを伝えることができない。さらに感情面では傷つきやすい状況にある。生活環境の中で24時間継続的に身体、感情、行動面などの観察も含まれる。

 ある施設でのことである。入居して3か月になる認知症のAさんであるが、目覚めている間中落ち着きなく危ない足どりで廊下を歩き廻り、時には他の入居者の部屋に入り物を持ち出すなどの行動が続いていた。スタッフは一緒に並んで、時には後ろから優しく見守りながらAさんと行動を共にしていた。

 時間が過ぎてスタッフが交代した。交代したスタッフの表情はかなり厳しい。優しさのかけらさえ見当たらない。冷ややかなその目つきは「監視」としかとれなかった。

 気になるスタッフがいることを上司に話すと「そうなんです。同僚や上司には良いのですが、入居者にはとても厳しい人で困っています」という。

 少数ではあるが認知症の人に(その行動)厳しい眼差しや態度をとるスタッフがいる。ケアを専門の仕事として選んだ人は、技術・技能も優れていなければならないが、やはり「優しい」人柄が最優先すると思う。