ひと言集

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平成24年3月7日

3月のことば

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「身体拘束の現状」

 Aさんが行方不明になってから4日目、精神科病院に保護された。病院に家族が行くと、家を出た時と同じ衣服のまま、四肢を抑制されていた。

 Aさんがスリッパのまま家を出てから30分後くらいに、ある人に出会い交番に連れていかれたようである。Aさんはほとんど言葉が出ない。コミュニケーションがとれない状態である。家族はAさんの欲求が分かるので言語によるコミュニケーションがとれなくともそれなりの生活ができていたが、見知らぬ人のところではお手上げの状態だったようだ。

 氏名も言えず先の精神科病院に措置入院となった。入院先で暴力を振るったので拘束したと説明があったようだが、何故暴力を振るうのかアセスメントもしないでいきなり拘束するというのは、そこにはケアがないということだと思う。Aさんの大きな不安、悲しみ、混乱をよそにどんどん悪い方向に行ってしまったのだ。

 自宅の近くの病院に移すことを検討していた矢先、血栓が脳にとんだということで、その治療のために転院になった。現状はAさんや家族の思いと違う方向にどんどん進んでいる。

 拘束ゼロへの手引きが出てから久しい。施設での「身体拘束」はかなり改善されていると思うが、精神科病院では「身体拘束」が日常的に行われているところがあるようだ。

 「身体拘束」は患者の安全のために行うとスタッフは云うが、そうではない。ケアする側が自分の都合で拘束しているのだ。そこにはケアもないし指導者もいないということである。

 重度の認知症の男性が入居時混乱状態になり、他者の部屋に入る、大声で叫ぶ、暴力を振るっていたが、スタッフが根気よく付き合い優しくかかわったところ、約1か月で落ち着き笑顔も出るようになった。このような事例は数えきれないほどある。

 認知症の人のケアに拘束はいらない。ということを知ってほしいと、今回ほど強く思ったことはない。

 Aさんの回復を祈る。