ひと言集

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平成24年7月17日

7月のことば

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「日常的なボランティア活動」

 久しぶりに団体旅行に出かけた。約30人集まった人たちの平均年齢は70歳を過ぎているように見受けられた。杖を利用している人も何人かいたが元気な雰囲気が漂っていた。

 島から島への船旅だった。小さな船の乗り降りは岸壁と船の間に約50cmの隙間があった。一番先に船に乗って座席に着いた私の目に飛び込んできた景色は、一緒に旅に出た友人Aが船の入り口に立って乗る人の手を取って船内に誘導している風景だった。添乗員もいたが狭い乗り口に体格のよ過ぎる添乗員が立つことは明らかに無理があった。全員が乗り終わるまで友人は無言のまま手を差し伸べていた。

 無事に旅を終え島から本島に移るときに乗った小型の飛行機の中で乳児が大きな声で泣いていた。若い母親が困ってゆすったり小声であやしているようだがますます大声をあげて泣き叫んだ。私の後ろの座席だった。「どうぞ機嫌を直して泣き止んでね」と心の中で祈ったが通じなかった。ふと気づくと隣の席の友人Aが席と席の間から手を伸ばして赤ちゃんのお尻をそっと叩いていた。間もなく赤ちゃんの声が小さくなりついに泣き声は消えた。眠ったらしい。

 「“ねんねんころりよ、おころりよ”の歌のリズムでそっと叩いたのよ。お母さんは泣きそうだった」と友人Aは語った。飛行機を降りるとき母親は友人Aに会釈をして降りた。その目に感謝の気持ちがあふれていたのが印象的だった。

 友人Aは長いことボランティア活動をしている人であるが、行動をしているときにほとんど言葉をださない。しかし、相手はなんとなく?友人Aの行動にのってしまう。友人Aは不思議な人だなと思った。

 友人Bと久しぶりに会った。声も振る舞いも大きい江戸っ子である。レストランで食事中大きな声で話しかけるのには参ってしまった。「もう少し小さな声で話して」と頼むと「私、耳の遠いお年寄りと話すことが多いので声が大きくなったのよ」と言い、今度はひそひそ声で話した。食事をすませて出ようとしたとき高齢な方が入ってきて席に座ろうとしていた。友人Bはさっと近づいて「大丈夫ですかお手伝いしましょう」と大きな声で話しかけ、手を差し伸べた。高齢な方は一瞬戸惑っているように見えたが友人Bの支援に従った。

 友人Bは中年になってから福祉を学びボランティア活動を続けている。生来気さくで困っている人を見たら放っておけない性分である。

 友人AとB、個性的な人たちである。2人とも本人の純粋な自由意思のもとに行われた行動であるがその違いに驚き「福祉は人なり」という言葉をまた思い出した。