ひと言集

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平成24年9月18日

9月のことば

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「ワンピース」

 最近の女性はこどもから高齢者まで体型に関係なくパンツをはくようになった。行動的で素晴らしいと思うが、介護が必要になった高齢女性の場合はパンツが介護への抵抗につながることがある。

 Aさんは以前からトイレ誘導に抵抗する方だった。認知症がかなり進行して周囲との関係も何も分からない状態になったが、恥ずかしという感情は保たれている。2人で介助をしているが毎回強く抵抗する。パンツと下着を下ろそうとすると抵抗はピークに達した。前が見える、見られることはAさんにとってはゆるしがたいことだったにちがいない。ケアする側は手際よくしているつもりだがAさんの尊厳が守られていないことに気付かなかった。
 カンファレンスで便器に座らせる時バスタオルを前に当てることになった。Aさんの排泄時の抵抗はかなり軽減した。

 35年も前のことであるが、入院している認知症の女性に毎朝洗濯したエプロンをかけていただいた。トイレに誘導したときパンツを下げても全く抵抗がなかった。前が見えないから恥ずかしくないのだろうと思った。エプロンはほかにも使えた。手洗のあと手を拭くことができる。食事の時のナフキン代わりにもなった。その時代は女性がエプロンをかけることに抵抗がなかったばかりか、エプロンをすることで落ち着いた生活を送ることにつながった。

 訪問介護のスタッフが排泄介助時の抵抗で困っているというので、先に述べたような方法を勧めてみた。2~3か月後「先生、いい話があるのよ」とスタッフに声をかけられた。排泄に抵抗していた方にワンピースを着せたら、トイレで抵抗することがなくなったという。家族も喜んでこの冬はワンピースを着せると言っているということだった。

 エプロンにこだわることはない。パンツの上におしゃれなチュニックなど着ていただくのもよいのではないだろうか。その方の好みに合わせたものを選んで着ていただくのも楽しいと思う。