ひと言集

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平成25年6月17日

6月のことば

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「個別ケア」

 数年前から脳卒中で左半身に麻痺のあるAさん(85歳、女性)は、施設に入所して車椅子の生活をしていた。車椅子に移乗させてもらえばあとは自分で自走できた。日中はベッドに臥床することを嫌いデイルームで過ごしたり、様々な活動に参加していた。そんなAさんが昨年の夏、何日か発熱して臥床の日が続いた。

 その後のカンファレンスで、Aさんは高齢なので日中臥床の時間を取ってもらうように決めた。ところが臥床を勧めベッドに横にすると間もなく「起こして」と何回もコールされるので、日中の臥床は難しく、結局発熱以前の生活になってしまった。スタッフの中で意見が分かれた。「日中臥床の時間をとってもらう」「ご本人の希望通りにしたい」ということだ。

 年齢はあまり関係ない。治癒力は個人で異なる。起きていたいという意欲があるAさんは車椅子で居眠りすることも稀であるという。Aさんの希望を取り入れて、発熱以前に戻して観察していくのがよいのではないか。高齢であるからこそご本人の気持ちを大切にすることが「個別ケア」だと思う。と伝えると、相談に来たスタッフは納得して帰った。

 私は以前から活動的で、疲れても少し休めばすぐ快復した。夜は楽しく、いつまでも起きていたい。眠らなくとも平気、眠らない日の方がかえって元気だった。眠っている時間が長いと人生がそれだけ短くなってしまうという思いがあった。

 ところが昨年の暮れに心臓にトラブルが起きた。二晩寝ずに動き回った後だった。規則正しい生活をしているつもりだったが、睡眠に限っては不規則だったことを反省した。そこで遅くとも今日中に就眠することに決めた。しかし、1時2時になっても眠れないため薬を服用することにした。薬を服用すれば途中で目覚めることもなく4時間は眠れた。

 部屋を暗くした方がよく眠れると一般に言われているが、暗くしていると朝が来たのが分からない。永遠に夜のままかもしれないと思って不安になってしまう。夜はレースのカーテンを引いただけで眠っている。

 私は朝がこよなく好きである。いつの季節も夜明けの景色は素晴らしく生きる力を与えてくれるから・・・。Aさんと私は同い年である。とても他人事と思えなかった。

 「個別ケア」を忘れてほしくない。人はそれぞれである。ことに長い間の習慣を高齢になっても出来る限り続けられる生活を支援してほしい。それが「個別ケア」であることを忘れないことである。