ひと言集

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平成26年1月6日

1月のことば

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新春のお喜びを申し上げます

「今月の言葉」を書き始めて100回を超えました。つたない文を読んでくださる方々にいつも感謝いたしております。


「モモ(アニマルセラピー)」

 非薬物療法の一つに「アニマルセラピー、ペット療法」というものがあるのはご存じの通りです。よく用いられるものに犬がいます。定期的にボランティアが連れてくる場合もありますが、施設内で飼っている場合もあります。

 「モモ」は施設内で飼っている7歳のトイプードルの雄です。施設で飼っている犬の多くは充分に訓練されているので通常誰に対しても吠えませんが、「モモ」は吠えます。ただし入居者に対して吠えるときはやや声のトーンを落として甘えた吠え方をします。面会人や業者などの訪問者には「キャン、キャン」と大きめの声で吠えます。まるで「お客さんよ」とスタッフに知らせているようです。私は月に1回3時間程伺っていますが訪問者並みに吠えられます。

 「モモ」は認知症の入居者に人気があります。4階建てのこの施設に入居している方はどのフロアにも自由に行き来し、どのフロアでもスタッフの歓迎を受けています。1階は食堂と事務室、玄関フロアに続いた開放的な応接室です。入居者がフロアの長椅子に座ると「モモ」が飛んで来てシッポを振りながら甘えた声で吠えます。入居者が「これ、これ、吠えないで」とやさしく声をかけるとますます甘えて「隣に座りたいの」と吠えます。入居者の隣に座って擦ってもらうのが「モモ」にとって至福の時のようです。

 Aさん(88歳・男性)は身体疾患もあり機嫌のよい時が少なく家族の面会時もスタッフがケアに入った時も笑顔が見られません。ところが体操の時間に車椅子で1階に下りてきたAさんの膝に「モモ」を乗せると「お、お、モモ」と笑顔になりしばらく「モモ」の縮れた毛を撫でます。そんな時の「モモ」は吠えないでじっとされるままになっています。

 車椅子のBさん(92歳・男性)は入居当初混乱がひどく、施設を自分の会社と思い込んで、他の入居者やスタッフに対し「会社が倒産しそうだ、お前らは雇えない、帰れ」と怒鳴っていました。私が挨拶をすると「パートのおばさんはいらない、雇わない」ときつく言われてしまいました。しばらくして環境に慣れ、スタッフと馴染みの関係ができて多少落ち着いてきました。

 体操の場に来たBさんは何をするのか分からず不機嫌な表情です。スタッフが「モモ」を膝の上に乗せると「お、お」と急に笑顔になり「モモ」を撫で始めます。「モモ」はこの時もじっとしています。時折スタッフの顔を見上げて「まだ?」という表情をしますが、スタッフが「もう少しね」と声をかけるとあきらめた様子で目を閉じます。約20分後に「ご苦労さん」とスタッフに抱き上げられ部屋に連れて行ってもらい上等の?煮干しを一匹ご褒美としてもらっています。