ひと言集

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平成26年11月14日

11月のことば

2014年11月の画像

「魔法の指」

 美容院で髪を洗ってもらっていると気持ち良くなり眠くなってしまう。という経験は誰しもあると思う。最近引っ越しを契機に美容院を変えた。
 マンションの1階にある美容院の入り口に向かうアプローチにはバラ、朝顔、菊など季節の花々が絶えない。美容室の中は植物園かと思うほど観葉植物が溢れている。仕切りの白い壁からはツタ類が下がっていて、優しい音楽が流れている。

 照明を程よく落とした洗髪室、45度位に倒された洗髪台、植物の間から小鳥の鳴き声が流れてくる。髪をお湯で濡らしてまとめ、洗い始める若いスタッフの指はまるで「魔法の指」のようだ。頭全体をくまなくその指が動く。お湯の温度のこと、かゆいところは残っていないかなどわずかな言葉がけに応答して、あとは心地良さにひたっている。最後に熱いタオルで頭が覆われその上に熱めの湯が注がれる。熱い湯で固く絞ったタオルで頭髪を拭いた後乾いたタオルで拭きマッサージが始まる。先輩スタッフに「魔法の指」のことを尋ねたら、「仕事柄指はいつも大切にしています」という。

 半世紀以上も前のことだが、看護の「看」という字は「目で観察して手当」をすることだと習ったことがある。指先に傷があったりひどく荒れていたりしたら、手当をするときの妨げになる。生まれつき荒れ性の人もいるが、仕事の道具でもある手はいつも柔らかく保ち、手当をしたとき僅かな変化にも気づくようにしたい。

 認知症の人は体調の変化を言葉で適切に訴えることができない。行動・心理症状の原因の一つに身体疾患がある。規則正しいリズムのある生活ができるように個別の計画を作成し支援を実施して行く過程で、僅かな変化に気づき、場合によっては医療に繋げることが大切である。そのためにもケアに携わる私たちは手と指を大切にしたいものである。