今月のひと言

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平成29年6月14日

6月のことば

2017年6月の画像

「介護家族の苦しみ」

 毎回10数人が集まり活発に意見交換を行っている家族会の席で、Fさんから訪問診療医について困っているという意見が出た。Fさんのご主人は3年前に認知症様の症状が始まり診断を受けたところ、大脳皮質基底核変性症(指定難病)と診断された。担当医は自宅での介護はかなり難しくなるので療養病棟への入院を勧めたが、Fさんは当分在宅での介護を希望した。ケアマネと相談して、週3回デイサービスを受け月一度の往診を受けることになった。

 ご主人の病状はかなり進行して言葉によるコミュニケーションも難しい状態となり、身体面のケアもほぼ全面介助が必要となってきた。

 往診に来た医師に椅子を勧めても掛けず、ご主人を上から眺めている。付いてきた看護師が測定した血圧と脈拍を医師に告げると、そのまま一言も発することなく出て行かれるという。

 「私が話しかけても何も言ってくれない。治らない病気ということは分かっていますが、これから先どうなるのか、何を注意したらよいかくらい言ってほしいけど、本当に信じられないくらいそっけないお医者さんなのよ。どうしたらよいでしょう」ということだった。

 参加者で往診を受けている家族はいなかったが、「まあ、信じられませんね」と一同顔を曇らせた。参加者の中には最後まで在宅介護を望んでいる家族もいた。「ケアマネと相談して往診医を変えてもらうわけにはいかないの」という意見が出た。「この辺ではとても評判が良い先生ということで紹介されたのよ」とFさんは困っていた。ともかくケアマネか診断をした病院の医師と相談してみることでしょうね。ということになった。

 後日違う家族の会で再度医師への意見が2件ほど出た。母親の激しい周辺症状に悩まされていた息子が「もの忘れ外来」に母親を連れて行ったら、簡単な検査だけで「アルツハイマー型認知症です、薬を飲んでください」と言われた。息子はインターネットで認知症のことを調べていたので、簡単な検査で、認知症、薬を飲んでください。と言われても納得できなかった。そこで他の病院に連れて行き再度検査を受けたが同じようなそっけない返事が戻ってきたので、薬の副作用はないのか、これから先どうしたらよいのか尋ねたら「家族の会に行きなさい」の一言だったという。

 もう一人の家族はレビー小体型認知症の母親が幻視から来る強い不安があって自宅では娘から片時も離れられない状態が続いていた。処方された薬を飲ませると副作用が強く出るので飲ませることができなかったため、いくつか病院を変えたが、どの医師にも母親の強い不安を理解し、薬の調整をしてもらうことはできなかった。今回○○病院のK先生を紹介されたので近日中に連れて行く予定だという。

 参加していた施設の責任者が「ああ、あの先生は良いですよ。先ずご本人に目を向けて話を聴いてからご家族の話を聴き、ケアマネが付いて来たらケアマネの意見も聴いて一緒に考えてくれるので、30分から場合によっては1時間近くじっくりと相談にのってくれますよ」と口添えをした。

 認知症のご本人の不安や苦しみを理解し軽減することが優先だが、24時間365日介護をしているご家族も心身ともに疲れ果て半ば病気の状態である。
 
 医師の中にもいろいろな方いる。K先生のような方も多くいると思う。多忙なことも承知しているが、認知症の人ご本人とその家族に寄り添った対応を望みたい。また、言葉少ない医師であったら、付いてきた看護師が適切な声掛けで補ってほしいと思った。