今月のひと言

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平成30年9月12日

9月のことば

2018年09月の画像

「主客転倒」

 そこは町中にある少人数の認知症カフェ。もともと喫茶店だったところを利用しているということで、狭いけれどゆったりとした長椅子があり、カウンターから参加者の様子が見える。開いている時間帯なら出入り自由である。
家族と買い物の帰りに立ち寄ったり、デイサービスの帰りに立ち寄ったりすることもできる。1人で来る人、ボランティアが送迎する人など様々で、現在は月1回開催している。

 たまたま伺った時は女性3人と男性1人、その家族が参加していた。スタッフは福祉関係の人達である。市内から若い人たちが2~3人見学に来ていた。参加者の好きな歌をみんなで歌い盛り上がった後のようだった。

 参加者と話していたら、若いスタッフの1人と見学者で話題が弾んだようで、声高く笑っていた。狭い室内は割れんばかりの賑わいで収まる様子がなかった。すると男性が帰りたいと言い家族と出て行った。「あの人、うるさいのが嫌いなのよ」と先輩スタッフが言った。女性たちは黙りこくっていた。

 このカフェではこうした状況はたまたまなのか、日常的なのか?認知症の人にとって関係ない話題。意味も分からない。喧騒でしかない。先輩は注意する様子もなかった。

 参加者はお客さま、主役のはずなのに、おもてなしのかけらも感じなかった。スタッフが主役になっていた。
 
 新設間もない施設のデイルームでスタッフ同士が大きな声で話していた。「○○さんのおむつ替えてきたのよ。まあ、びしょびしょよ」と。すると「聞こえているよ」と近くに居た入居者が言った。という話をその施設にボランティアに行っている人から聞いた。

 新設したばかりで教育が十分行き届いていないのか?これは教育以前の問題、常識だ。個人の秘密を他の入居者の前で話す。「聞こえているよ」と言った入居者の言葉には「私のことも人前でそんなふうに話すんでしょう。やめてください」というメッセージが含まれていることにスタッフは気づいてほしい。

 カフェや施設で働くボランティアやスタッフの多くは、お客さん(利用者)に寄り添った素晴らしい関わりをしている。先に挙げた例はごく一部であると思うが、利用者が主役で、ケア(サービス)する側は脇役であることを忘れないでほしい。「主客転倒」にならないことである。