今月のひと言

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2019年10月7日

10月のことば

2019年10月の画像

「昼下がりの車中」

 昼下がりの電車の中はゆったりとしていて、座っている人びとを観察するのが楽しい。私の目の前にいた女性は60歳くらい、グレーヘア、白の木綿のシャツにグレーのスカート、膝をきっちり閉じて座っている足先は白い運動靴。背筋を伸ばしてごく自然な姿で単行本を読んでいた。

 その隣に20歳代位の可愛い女性がスマホを見ていた。鮮やかな赤いお洒落なブラウス、大粒の真珠のイヤリング、破れたジーンズ。破れたジーンズはかなり以前から目にしているのでさほど驚かないが、この女性のジーンズは裾から股関節屈曲あたりまで約20㎝幅くらい縦糸がない、所どころ横糸もないので蒸し暑い残暑の今日には向いているのかなと思った。

 電車が駅に着き、小学校低学年位の少年がスマホを見ながら乗ってきた。そのあとに続いて高齢男性が乗ってきた。ドアを隔てた向こうの奥から2番目にわずかな空きがあった。男性がその席に近づいて掛けようとしたが、3番目の席に座っていた30歳位の女性の足が気になって、戸惑っている様子だった。その女性はすらりとした長い足をまるで置き場に困ったように組んでいた。紺色の超ミニパンツに白いシャツ、長い髪、化粧ポーチから次々と化粧品を取り出し一生懸命に化粧をしていた。男性はやや太り気味の身体をくねらせるようにして、女性の組んだ足を避けるように座った。周囲の人は皆スマホに夢中で誰も気にかけていなかった。

 昭和の始め生まれの人間にとっては、現代のファッションや行動には驚くことばかりだが、結構楽しい10分ほどの電車の旅だった。